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気になるところですが、認知症と比べていわゆる一般的な老人ボケとはどう違うのでしょうか?
簡単に言えば「ボケ」とは広い意味があるもので、本来の認知症と生理的老化の両方の意味を含みます。人によっては「ボケ」=認知症と考えているので、その点はややこしいですが、専門家は診断名として「ボケ」を使うことは少ないです。
つまり「ボケ」というのは認知症の俗語といった意味合いがあります。
正常な脳であったとしても、その神経細胞は20歳頃をピークに年齢とともにその数が減少していくのが普通ですので、厳密にいえば20歳すぎれば老化のために脳はボケていくはずなんです。
でも実際には日常生活や社会生活を営む上で問題はまったくないわけで、総合的知能は衰えることなく、むしろ知能や判断力は向上するとも言えます。
ただし、記憶力とか推理力といった脳の能力のなかの基本的機能は20歳代の後半から明らかに低下していきます。
たとえば、神経衰弱というトランプを用いた記憶力をベースにしたゲームがありますが、小学生と40歳代の人と対戦すると、大抵小学生が勝つというデータがあります。
つまり、単なる記憶力だけで競争すると、若い人の方が優れているのです。しかし、総合的知能では40歳代の人の方が優れていることは誰でも理解できますよね。そこには経験や知恵などが加味されているからです。
この生理的老化による神経細胞数減少の速度はかまり遅いものですので、それによる能力の低下は生じないと考えられています。
しかし、認知症患者の脳細胞はすさまじい勢いで死滅し、減退していきます。記憶・分析力・判断力が全て一気に失われてしまうのです。
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認知症というのは単なる記憶障害とはまた違っていて、脳全体の障害のことを言います。
これが進行すると、その障害は全般的脳機能に影響が及んで、人格も崩壊して廃人のような状態となります。自分ではご飯も食べることができないですし、寝たきりになったり、肺炎や尿路感染症などで死を迎えることになります。
しかし、初期の段階ではそれらの高次精神機能の内の一部の障害が症状として現れる程度なので、深刻な事態に気付けない場合が多いのです。
たとえば、初期の脳機能の障害でよく見られる症状として、記憶障害や認知障害などが起こります。特に記憶障害は最も家族に気づかれやすい症状ですので、そこでおやっと思って早めに診察を受けましょう。
つまり、いわゆる物忘れとして家族に気づかれることが多いのです。その場合、古いことはしっかり覚えているわりに、新しい最近のことが思い出せないといった症状が出てきます。
一般的には、歳をとると人の名前がなかなか出てこなくなったりして、「あれ]とか「それ」とかの代名詞が会話に多く使われるようになることが見られますよね。
それで「ぼけ」たのではないかとか言われることが多くなります。
でも、たまにしか見ない芸能人の名前がとっさに思い出せない・・こういうことは普通の事なので、認知症の症状ではないので問題ありません。
認知症の症状は、いろいろなことを記憶にとどめることができなくなります。よくいわれるように、朝ご飯の内容を思い出せないのではなく、朝ご飯を食べたこと自体を思い出せないのが認知症の症状です。
後から思い出せるような状態というのは、「一度記憶にしまった物事をちゃんと引き出せなかった状態」ですので、記憶そのものができない状態とは違うことなんです。
認知症になると、記憶そのものができないのです。
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